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熱中症による中枢神経障害

はじめに

 熱中症(heat illnessまたはheat disorders)とは、「暑熱環境において身体適応の障害によって生じる諸症状の総称」であり、他の原因疾患を除外したものと定義できる1。熱中症に伴う中枢神経障害の症状、所見として、軽症では、めまい、ごく短時間の意識消失、見当識障害などから始まり、重症になれば、昏睡や痙攣として認識される。本邦においては発生現場における判別方法として、体温ではなく意識障害の程度が広く使用されており、医療に従事していない人でも比較的正確にその重症度および緊急度を推定できる。重症熱中症の後遺症としては、中枢神経障害が最も多く、集中治療による救命後にはリハビリテーションと自立生活の再建など大きな問題が残ることとなる。今後更なる高齢化、孤立化、貧困化だけでなく夏期の高温化の進行によって、重症熱中症患者の増加が見込まれている。新型コロナ肺炎との鑑別、感染予防と同様に、救急外来や入院後に高体温、意識障害を有する症例を診る可能性があれば、熱中症の基本的知識を身に付けておく必要があるとも言える。