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EAN 2022:ハイライトと専門家のコメント

6月25日~28日にオーストリア・ウィーンで開催された第8回欧州神経学会議(European Academy of Neurology、EAN)年次総会で発表された重要な知見は何か? ここでは、第一線で活躍する専門家2名が、重要な研究について解説し、治療への影響を浮き彫りにする。

Ambra Stefani博士(Massachusetts General Hospital博士研究員、米国ボストン)及びAngelo Antonini教授[パドヴァ大学(University of Padua)神経学教授、イタリア)が、頭痛脳卒中多発性硬化症神経眼科学認知症睡眠小児神経学ギラン・バレー症候群てんかんパーキンソン病CANVAS及び筋強直性ジストロフィー1型における進歩について解説する。

EAN 2022で発表された新たな知見の詳細については、Neurodiemが毎日お伝えしたイベントの記事でご覧いただくことができる。

 

頭痛

EAN 2022の参加者は、機械学習に基づくアプローチを用いて片頭痛患者の抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide、CGRP)に対する反応を予測する方法について学んだ。

機械学習アプローチを特徴の選択に使用して、6ヵ月後の抗CGRP療法への30%、50%及び75%の奏効予測モデルを生成した。6ヵ月後の奏効率は、60%の患者で30%、43%の患者で50%、17%の患者で75%であった

Stefani博士は、以下のようにコメントした。「本研究は、女性患者にしか適用できない可能性があるが、臨床的意義がある(対象とした片頭痛患者の93%が女性であったため)。機械学習に基づいたアプローチにより、患者背景変数及び頭痛変数によって抗CGRPに対する奏効が予測でき、それにより個別化治療への第一歩を踏み出すことができる。

このアプローチに基づき、片頭痛患者の様々な表現型が特定される可能性があり、それにより今後より有効な治療アプローチが利用可能になる」。

 

脳卒中

EAN 2022で専門家が、機械的血栓除去術(mechanical thrombectomy、MT)を受けた急性虚血性脳卒中(acute ischemic stroke、AIS)患者におけるsusceptibility vessel sign(SVS)の状態と活動性悪性腫瘍の存在との直接的な関連について報告した。

SVSが存在しないことは、以下と強く関連していた。

  • 活動性悪性腫瘍:調整オッズ比(adjusted odds ratio、aOR)4.85、95%信頼区間(confidence interval、CI) 1.94~12.11
  • 潜在性悪性腫瘍単独:aOR 11.42、95%CI 2.36~55.20

Stefani博士は、以下のようにコメントした。「本研究の結果に基づき、急性虚血性脳卒中に対してMRIを実施する際には、SVSの状態を評価する必要がある。SVSが存在しない場合は、活動性悪性腫瘍及び潜伏性悪性腫瘍を疑う必要がある。従って、SVSの状態を考慮することで、急性虚血性脳卒中での悪性腫瘍の検出精度が向上する可能性がある」。

「SVSの状態を考慮することで、急性虚血性脳卒中での悪性腫瘍の検出精度が向上する可能性がある」

Ambra Stefani博士

また、EANでは、機械的血栓除去術が確立されたことで、回収された血栓物質の組織学的解析及び免疫組織化学的解析による脳卒中の病因の判定が向上する可能性があることが、新たなデータによって示された(囲み記事参照)。

回収された血栓物質の解析

 

血栓の組織学的検査

  • 混合(n=123):62%
  • 血小板/フィブリンが多い(n=45):23%
  • 赤血球が多い(n=18):9%

 

血栓の病因

  • 心原性塞栓(n=87):44%
  • 動脈性塞栓(n=37):19%
  • 未確定(n=26):13%

 

 

Stefani博士は、以下のようにコメントした。「機械的血栓除去術で得た血栓物質の組織学的解析により、動脈原性脳塞栓症に関連する赤血球が多い血栓と心原性脳塞栓症に関連する血小板/フィブリンが多い血栓とを鑑別することができる。

可能な限り常にこの解析を実施することは、特に塞栓源不明の脳塞栓症患者の脳卒中の病因を特定するのに役立つ可能性がある。これらの患者では、血小板/フィブリンが多い血栓の存在によって、心原性塞栓由来の疑いが強まり、結果的に診断及び治療アルゴリズムの変更につながる可能性がある。

「可能な限りいつでもこの解析を実施することは、脳卒中の病因を特定するのに役立つ可能性がある」

Ambra Stefani博士

Sleep Deficiency and Stroke Outcome Studyの一環として、研究者は、血圧変動(blood pressure variability、BPV)及び比較的程度は低いが心拍数変動(heart rate variability、HRV)によって、急性脳卒中患者の将来の脳心血管イベント(cerebro-cardiovascular event、CCVE)を予測できると報告した。

収縮期血圧(systolic blood pressure、SBP)及び拡張期血圧(diastolic blood pressure、DBP)の変動は、いずれもCCVEリスクの上昇と関連していた。

  • SBP-標準偏差(standard deviation、SD):オッズ比(odds ratio、OR)1.70、95%CI 1.17~2.48、P=0.005
  • DBP-SD:OR 1.41、95%CI 1.02~1.96、P=0.037

Antonini教授は、以下のようにコメントした。「急性脳卒中患者の将来の脳心血管イベントの潜在的な予測因子としてのBPV及びHRVに関するデータはわずかしかない。本研究では、脳卒中を発症した被験者437例のうち、3年以内に脳心血管イベントが発現した被験者92例を解析した。最良の予測因子は収縮期BP(OR 1.7)及び非線形HRV(OR 1.26)であり、これにより初回脳卒中後の急性血管イベントの再発防止にはBPコントロールが重要であることが示された」。

「初回脳卒中後の急性血管イベントの再発防止にはBPコントロールが重要である」

Angelo Antonini教授

多発性硬化症

多発性硬化症(multiple sclerosis、MS)では、血清グリア線維性酸性タンパク質(serum glial fibrillary acidic protein、sGFAP)が疾患進行の重要なバイオマーカーとして脚光を浴びている。

総合障害度評価尺度3以上であることが確認されてから6ヵ月以内の患者259例を対象として、神経変性及びアストロサイト活性化の定量因子であるsGFAP濃度並びに血清ニューロフィラメント軽鎖(serum neurofilament light chain、sNfL)濃度を解析した。患者を追跡調査した(中央値7.6年)。

年齢及び性別による調整後、研究者は以下を報告した。

  • sGFAPと、6ヵ月以内に確認された疾患進行(6-month confirmed disease progression、6mCDP)リスクの上昇とに正の相関が認められた(ハザード比1.64、P=0.006)
  • sNfL単独では6mCDPの予後を示さなかったが、sGFAPと6mCDPとの間の相関は低sNfL濃度の患者でより強かった(HR 2.30、P=0.006)
  • ベースライン後に疾患活動性を有する患者でsNfLが増加した(平均12.5 pg/mL、これに対し非活動性疾患では11.7 pg/mL、P=0.036)

「この進行型MS患者コホートでは、sGFAP濃度の上昇が進行の指標となっていたのに対して、sNfL濃度の上昇は急性疾患活動性を反映していたことが、結果から示唆されている」と、研究者は結論付けた。「いずれも、研究及び臨床試験でより効果的に患者を層別化するために使用できる」と、研究者は付け加えた。

Stefani博士は、以下のようにコメントした。「進行型MS患者の疾患活動性及び進行のマーカーは、最も重要である。本研究では、sGFAPを評価し、sGFAPによって今後6ヵ月間の疾患進行が示されることを示した。この血清マーカーは、臨床試験への応用についてだけでなく、進行型MS患者の治療戦略を適時に改善する上でも有用である可能性がある」。

Antonini教授も、本研究について以下のようにコメントした。「これらの結果は重要である。検査が比較的容易なこれら2つの血清マーカーの組合わせは、診療現場で、活動性疾患を有するMS患者の特定や進行リスクの低い患者の特定に使用できる可能性がある」。

「この血清マーカー(sGFAP)は、進行型MS患者の治療戦略の改善に役立つ可能性がある」

Ambra Stefani博士

神経眼科学

EAN 2022で発表された新たな研究によると、視神経炎(optic neuritis、ON)後の網膜層の菲薄化は、再発性MSの将来の再発寛解の予測因子として有用である可能性がある。

多変量解析で、ON以外の再発の不完全寛解が神経節細胞層-内網状層(ganglion cell inner plexiform layer、GCIPL)の菲薄化によって予測できることが明らかになった。

Stefani博士は、以下のようにコメントした。「本研究の結果に基づき、OCTは再発性MSの将来の再発寛解を予測できる信頼性の高いツールになり得る。視神経炎後の光学層の菲薄化によって将来の再発寛解が予測できた。

視神経炎後のOCTの結果に基づく治療戦略の変更によって患者の長期転帰が改善するかどうかを、今後の研究で評価する必要がある。もしそうであれば、この迅速な検査が治療法決定木に組み込まれる可能性がある」。

「OCTは再発性MSの将来の再発寛解を予測できる信頼性の高いツールになり得る」

Ambra Stefani博士

認知症

EAN2022の参加者は、主観的認知機能低下(subjective cognitive decline、SCD)を有する患者では、ハンチンチン中間型アレル(intermediate allele、IA)が年齢及びアポリポ蛋白E(apolipoprotein E、APOE)ε4と関連することで、軽度認知障害(mild cognitive impairment、MCI)への進行リスクが高まることを学んだ。

  • SCD患者106例のうち、44例(41.51%)がMCIに進行し、62例(58.49%)がMCIに進行しなかった
  • MCIへの進行率は、IA、ベースライン時点の年齢及びAPOE ε4と関連していた

Stefani博士は、以下のようにコメントした。「主観的認知機能低下を有する患者のうち、軽度認知障害(最終的には認知症)に進行している患者とそうでない患者を区別するマーカーが極めて必要とされている。本研究に基づくと、ハンチンチン中間型アレルはそのようなマーカーとして有望である。

軽度認知障害への進行リスクとの関連が確認された場合、例えば記憶障害クリニックなどの診療現場で進行リスクに応じた患者の層別化に使われる可能性があり、将来的には診断・治療法決定木に組み込まれる可能性がある」。

「ハンチンチン中間型アレルは、進行リスクに応じた患者の層別化に診療現場で役に立つ可能性がある」

Ambra Stefani博士

一方で、血漿p-tau181は、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease、AD)の神経病理学的カスケードの早期に患者を発見するための、非侵襲性の実施可能な望ましい診断ツールとして脚光を浴びた。

研究者は、血漿p-tau181濃度の中央値が、健康対照で1.4 pg/ml、SCDで2.0 pg/ml、MCIで2.4 pg/ml、ADで3.4 pg/mlであったと発表した。

Stefani博士は、以下のようにコメントした。「提案された診断ツールは、非侵襲性の実施可能なものである。今回示した、大規模コホートから得られた結果から、アルツハイマー病及びその前駆期の診断における血漿p-tauの臨床応用の可能性が示唆されている。

これは、脳の健康を改善するために神経変性の予防にますます重点が置かれているという観点から、特に興味深いものである」。

 

睡眠

EAN会議で発表された前向き研究で、急速眼球運動(rapid eye movement、REM)睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder、RBD)スクリーニング質問票の特異度及び陽性的中率が低い~極めて低いであることが明らかになった。

本研究の被験者は、RBDスクリーニング質問票(RBD screening questionnaire、RBDSQ)、RBD一項目質問(RBD single question、RBD1Q)、Innsbruck RBDインベントリーに記入した。感度、特異度及び精度は以下の通りであった。

  • RBDSQでは、79.3%、47.3%及び50.3%であった
  • RBD1Qでは、75.9%、66.1%及び67%であった
  • Innsbruck RBDインベントリーでは、89.7%、54.6%及び57.9%であった
  • 3つの質問票を組み合わせると、96.6%、33.3%及び39.4%であった

Stefani博士は、以下のようにコメントした。「SINBAR(Sleep Innsbruck Barcelona)グループのこれまでの小規模研究及びビデオ睡眠ポリグラフに基づく本大規模研究によって、RBDスクリーニング質問票の性能は検証研究以外では低いことが示された。このような質問票を診療現場で使用する場合、一般神経内科医は偽陽性率が高いことを認識し、質問票の結果を患者に伝える際に慎重になる必要がある。

質問票に基づき「ほぼ確実」にRBDであると診断された場合、RBDと確定診断されていないにもかかわらず、患者はα-シヌクレイノパチーの発症を心配する可能性がある。そのため、この状況では慎重なカウンセリングが最重要となる」。

「一般神経内科医は、RBD質問票を使用する場合に偽陽性率が高いことを認識し、質問票の結果を患者に慎重に伝える必要がある」。

Ambra Stefani博士

EAN 2022で発表されたその他の研究で、睡眠障害が高齢者の認知低下のリスク因子であることが報告された。睡眠効率、中途覚醒及び断片化指数(P<0.01)によって、未調整モデル及び調整モデルの両方で追跡調査時の記憶力を予測できた。

Antonini教授は、以下のようにコメントした。「夜間の睡眠時間の短縮によりAβ沈着のリスクが高まること、及び患者が認知障害若しくは重大なAβ沈着を示す前の早期にこのことが起こる可能性があることが、いくつかの研究によって示されている。本研究では、18ヵ月間追跡調査した高齢者群を前向きに評価した。

結果から、睡眠効率、中途覚醒及び断片化指数によって追跡調査時の記憶力が予測できたことが示されたが、これは認知低下のリスク因子としての睡眠障害という概念を裏付けるものであった」。

 

小児神経学

革新的な研究で、社会性の障害を有する小児の社会的技能トレーニングのための小児型ロボットPepperが開発された。EAN会議では、社会性の障害の神経リハビリテーション中の小児のPepperとの相互作用に関する有望な知見が発表された。

小児は迅速に(最長3分以内)ロボットに熱中することが、観察データから示された。調査の結果、好感度が98%、安全性が知覚されたのが83%、知性が知覚されたのが81%、擬人化されたのが64%であったのが明らかになった。

Stefani博士は、以下のようにコメントした。「新たな技術及び人工知能は、現代医学の一部である。今回説明した、小児の社会性の障害の神経リハビリテーションのアプローチは、一種の「保護された」環境で相互作用を提供し、刺激する可能性がある興味深いアイデアである。

このアプローチを用いて長期的な社会的相互作用の変化を評価し、小児型ロボットPepperをリハビリテーションプログラムに統合することのベネフィットの可能性を評価することは興味深い」。

 

ギラン・バレー症候群(GBS)

北イタリアでの研究で、2020年3月~2021年3月にギラン・バレー症候群(Guillain-Barré syndrome、GBS)が前年と比較して有意に増加したことが示され、COVID-19とGBSとの関係を示唆するこれまでの研究が裏付けられている。

  • 2020年のGBSの推定発生率は100,000人年につき1.41例(95%CI 1.18~1.68)であり、これに対し2019年では0.89例(95%CI 0.71~1.11)であった
  • 2020年3月~2021年3月の期間に、GBSの累積発生率が59%上昇した

Antonini教授は、以下のようにコメントした。「COVID-19アウトブレイク以降、GBSスペクトラムと重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus-2、SARS-CoV-2)との関連の存在がエビデンスによって示唆されている。

本研究は、文献でのもっとも大規模な体系的評価のひとつである。2020年3月~2021年3月に北イタリアにある14の紹介病院からGBS症例を収集し、COVID-19陽性とCOVID-19陰性とに分類した。対照集団として、2019年1月~2020年2月に同じ病院で診断されたGBS患者を検討した。

「GBSの累積発生率は2020年3月~2021年3月の期間に59%上昇し、発生率は100,000人年につき1.41例であったが、これに対し2019年では0.89例(95%CI 0.71~1.11)であった。これらの結果からCOVID-19とGBSとの間に関連があることが示されており、予防が重要となる」。

「これらの結果からCOVID-19とGBSとの間に関連があることが示されており、予防が重要となる」

Angelo Antonini教授

 

てんかん

外科的治療の可能性がありBrno Epilepsy Centerに紹介された患者を対象にした、薬剤抵抗性てんかんの持続期間を調査した研究によって、経時的に持続期間が短縮していないことが示された。

同センターに紹介される前のてんかんの持続期間が短縮していないことが明らかになった。1995~2000年では17年、2001~2010年では18.2年、2011~2020年では18.1年であった(P=0.72)。診断プロセスの平均所要時間は、2.6年から1.4年に有意に短縮された(P<0.001)。

Antonini教授は、以下のようにコメントした。「てんかんには新たな治療法がいくつかあるが、依然としてかなりの割合の患者がコントロール不良である。外科的処置は、薬剤抵抗性焦点性てんかん患者において重要であるが、十分活用されていないことが多い。ここで、著者は1996年~2020年に頭蓋内手術を受けた患者384例及び迷走神経刺激(vagus nerve stimulation、VNS)を植え込んだ患者221例での経験をレビューしている。

解析した3つの期間で、センターへの紹介前のてんかんの持続期間は短縮しなかったが、センターでの診断プロセスは2.6年から1.4年に短縮した。最も重要なことに、時間的局在性を有さない患者の方が治療を受けた人数が多かった。

薬剤で最適なコントロールが得られない全ての症例で外科的選択肢が重要な治療選択肢となることが、これらの結果によって示されている」。

「薬剤で最適なコントロールが得られない全てのてんかん症例で、外科的選択肢が重要な治療選択肢となる」

Angelo Antonini教授

 

パーキンソン病

ホスレボドパ/ホスカルビドパの持続皮下投与は概ね安全であり、進行したパーキンソン病での運動合併症及び朝の無動が改善することが、第3相試験(NCT03781167)の結果から示された。

最も頻度の高い有害事象は注入部位の皮膚症状であり、その大部分は重篤でなく、重症度が軽度又は中等度であり、消失した。運動合併症の改善が1週目から観察され、5週目まで持続した。

BeyoND試験(NCT02726386)の長期(102ヵ月)安全性の結果から、ND0612によるレボドパ/カルビドパ持続注入は安全であり、可逆的かつ管理可能な概ね軽度~中等度の局所的な治療下で発現した有害事象(TEAE)を伴ったことが示された。

最も頻度の高いTEAEは、小結節、血腫、感染、疼痛及び焼痂などの注入部位反応であり、これらは概ね可逆的かつ管理可能なものであった。

Antonini教授は、以下のようにコメントした。「パーキンソン病の進行に伴い、経口レボドパの治療域が狭まり、運動合併症の頻度が上昇する。近年までレボドパは経口投与しかできず、1日に複数回投与する必要があり、コンプライアンスが不良であった。これら2つの研究から、2つの異なるレボドパ皮下投与製剤の有効性及び安全性のエビデンスが得られる。

いずれの製剤でも、オフ期間の短縮及び歩行能力が良好な時間の延長といった長期的なベネフィットが実証された。長期安全性プロファイルは同程度であり、注射による小結節及び紅斑が最も頻度が高い有害事象である。今後はレボドパ皮下投与がデバイス補助療法の第一選択となることが予想される」。

 

「今後はレボドパ皮下投与がデバイス補助療法の第一選択となることが予想される」

Angelo Antonini教授

 

小脳性運動失調、ニューロパチー、前庭無反射症候群(CANVAS)

EAN 2022で発表された新たな研究には、過小診断されていることが多い疾患である、遺伝学的に確認された小脳性運動失調、ニューロパチー、前庭無反射症候群(cerebellar ataxia, neuropathy and vestibular areflexia syndrome、CANVAS)の患者の詳細な表現型の説明が含まれていた。専門家が、患者9例の症状及び所見について説明した(囲み記事参照)。

遺伝学的にCANVASが確認された患者9例の評価

 

  • 発症(咳嗽を除く)時の年齢の中央値:55歳
  • 不安定さと歩隔の拡大を伴う運動失調(n=9)
  • 知覚鈍麻及びしびれ(n=7)
  • 錯感覚(n=6)
  • バランス障害(n=5)
  • 感覚障害(n=4)
  • 主な放射線学的所見:軽度小脳萎縮(n=7)

 

 

Antonini教授は、以下のようにコメントした。「CANVASは、中年期に緩徐に進行する運動失調、感覚ニューロパチー及び両側性の前庭動眼反射障害として発現する。著者は、両アレルで複合体サブユニット1の複製因子に反復が遺伝学的に確認された一連の保有者9例を発表している。遺伝学の利用可能性を考慮すると、遅発性運動失調及び感覚ニューロパチーの鑑別診断で、CANVASをもっと検討するべきである」。

「遅発性運動失調及び感覚ニューロパチーの鑑別診断で、CANVASをもっと検討するべきである」

Angelo Antonini教授

筋強直性ジストロフィー1型

EAN 2022で発表されたパイロット試験の結果によると、血清ニューロフィラメント軽鎖(neurofilament light chain、NfL)濃度は、筋強直性ジストロフィー1型(myotonic dystrophy type 1、DM1)の中枢神経系(central nervous system、CNS)